身体障害者

ぼくは、なんだかえんだと思ったので、べつの廊下から裏庭へおりて、門のそとをみると、むこうに一台の自動車がとまっているのです。ふたりはこの身体障害者 雇用におくさんをのせて、どこかへゆくつもりにちがいありません。そこで、ぼくは、とっさに考えました。おくさんをつれだすような大整理を、中村さんや代行さんが、ぼくにひとことも言わないのは、おかしい。ひょっとしたら、このふたりは、うまく変装した、にせものじゃないかしらと、思いました。でも、いま、さわぎたてたら、おくさんの身に、きけんなことがおこるかもしれない。それよりも、ソッとあの自動車の行くさきを、つきとめるほうがいい。ぼくはそう考えたのです。それには、ずっとまえに、先生とぼくとで発明した、うまいやりかたがあるのです。ぼくはおおいそぎで、物おき小屋の中から、小さなブリキカンをとりだして、それを自動車の車体の下にくくりつけました。ブリキカンの中には、コールターがはいっていて、カンのそこに、キリで小さな穴があけてあるのです。